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札幌本部

2023.11.16

樺太戦とその戦後をめぐる問題学ぶ 新渡戸連続講座

 新渡戸遠友館(仮称)建設支援連続講座の今年5回目の講座が11月14日(火)、札幌市内の愛生館サロンにて開催された。北海道大学大学院文学研究院専門研究員(樺太史)の鈴木仁(じん)氏が『日本領時代の樺太の歴史 その2 戦争』と題して講演した。

【樺太連盟が収集した遺品】

 講座の中では、1945年(昭和20)8月9日に始まった戦争と戦後の問題について詳しく解説。樺太に関する基本的な資料、樺太へのソ連参戦の背景、国境戦、西海岸、真岡での戦闘といった具体的な事例が紹介された。

 講演には、実際の写真や資料が交えられることで、戦争当時の緊迫感や凄惨さが伝わった。

鈴木氏は、戦争史の視点として樺太での戦争について(1)北海道を守った樺太、(2)命令の混乱が招いた戦争、(3)樺太の住民を守るための戦争、という3つの捉え方があったと指摘した。

【講演する鈴木さん】

 鈴木氏は「記憶としての樺太の戦争が遠ざかる中、記念碑や慰霊行事の継承、残された資料の保管と分析、歴史の形成が必要な時代となる」と締め括った。

(さっぽろ農学校リポーター・足立大輔=修士1年=、写真も)