ニュース

札幌本部

2023.11.06

未来を担う食農関係者を応援 北大マルシェアワード 

 北海道大学農学院の授業のひとつに食の安全・安心基盤学Ⅰ・Ⅱ(通称「北大マルシェアワード」)がある。北海道大学大学院農学研究院・地域連携経済学研究室の小林国之准教授と畜牧体系学研究室の三谷朋弘准教授が中心となって指導を行い、大学院生が主体となってイベントを運営する一風変わった授業だ。一昨年・昨年に引き続き3回目となった今年のテーマは「20年後の当たり前を今、はじめよう」。11月11日(土)には最終審査会と表彰が公開で行われる。どのような取組を行っているのか、アワード実行委員会の代表院生3人と小林先生にお話を伺った。

今月11日最終審査会開催へ

 「北大マルシェアワード」は北海道で未来の農業、農村、食づくりに取り組んでいる方々を応援するために、表彰して活動を広く発信するという活動だ。取り組みは2009年から10年にわたって毎年開催されていた「北大マルシェ」というイベントの流れを組む。この「北大マルシェ」は、全道から優れた農産物や農産加工品を年に一度農学部に集め、市民に直売していた。生産者や加工業者、販売業者らが前庭にテントを張って市民に商品をPRしながら販売し、毎回大勢の市民でにぎわったが、10年を区切りに終了した。

【2009年から10年にわたって開催されていた「北大マルシェ」=2014年8月、北大農学部前庭】

 小林准教授は「『北大マルシェ』を主催する中で、食に対する生産者の想いの伝わりにくさ、農村部の働き手の不足、持続的な未来の農業のあり方等、食や農をめぐる様々な問題が見えてきた」と語る。そこで、北海道の農業・農村・食を見つめなおすことに焦点を当てて、大学院生を中心として活動することを企画したという。小林准教授は「この『北大マルシェアワード』が、北海道の食と農が進むべき新しい未来を紡ぐ手助けの一つになればと思っています」と意気込む。

3部門ごとに3個人・団体がプレゼン

 アワードは応募した農家や加工業者、農業関係団体などの提出書類を審査し、優秀とされた応募者に、最終審査会に出場してもらう。最終審査は「持続性3本の矢」「新しい食の価値~想いを伝え、心をつなぐ~」「Be ambitious賞」の3つの部門(チラシ参照)があり、部門ごとに書類審査を通過した応募者3個人・団体が最終審査で活動内容のプレゼンを行い、各部門で1人または1団体ずつの受賞者が選ばれる。

 このうち「持続性3本の矢」は環境と働き易さ、安定した経営に配慮した農業をしている個人または団体に、「新しい食の価値~想いを伝え、心をつなぐ~」は食へのこだわりを持ちつつ、消費者との距離を縮めている個人または団体、「Be ambitious賞」は夢を抱いて食や農を楽しんでいる若い世代の個人または団体に、それぞれ贈られる。

【北大マルシェアワード2023のポスター】

 今年の最終審査会は11月11日(土)に農学部大講堂で行われるほか、オンラインでも視聴可能である(どちらも無料)。また、最終審査会の様子は、後日北大マルシェアワードのウェブサイト(ポスター参照)でも動画で公開される予定だ。

今年の取り組みに関して実行委員会の代表院生3人に話を伺った。

【左から 副実行委員長佐賀祐奈さん(国際食資源学院地域連携経済学研究室)、実行委員長薮下廉さん(農学研究院農業土木学研究室)、副実行委員長齋藤和希さん(農学研究院食品加工工学研究室)。農学部裏スペースで実行委員会がBBQをやっている時にお邪魔した=2023年6月21日】

Q1.三人の農業との出会いを教えてください

齋藤さん:自分たち農学部生物環境工学科の学生は学部2年生の時に学内での農業実習があります。その際、稲刈りなどをやったのですが、農作業がとてもしんどくて・・・。自分と農業の出会いはそこでした。

薮下さん:自分も生物環境工学科の実習で初めて農業に触れました。また、自分の研究がドローンに関する研究なのですが、ドローンを飛ばす際に農家さんと実際にお話ししたりします。

佐賀さん:実家で祖父母が畑と田んぼをやっており、たまに手伝っていました。田んぼが周りにたくさんあるので、意識はしていなかったけれど農業がとても身近でした。でも、農業が特別好きだったわけではありません。北海道に来てから農家さんと出会い、職業として農家をやる選択肢を知りました。

Q2.「北大マルシェアワード」の担当部門賞と、それにかける意気込みを教えてください

齋藤さん:自分は「持続性3本の矢」の賞を考えましたが、それはまだ誰もやっていないことをやっている人がとてもカッコいいと思うからです!そうした人たちを賞を通じて応援したいと思っています。

薮下さん:自分は「Be ambitious賞」を考えました。それは次世代に農や食をつなぎたいと考えているからです。現在、農や食に関わる分野での後継者不足等が危惧されているなかでも、楽しく農や食に携わられている若手の方々がいらっしゃると思います。そうした方々を表彰することで、次世代の人たちが育っていく環境ができればいいなと思っています。

佐賀さん:自分は「新しい食の価値~想いを伝え、心をつなぐ~」の賞を考えました。いま、消費と生産の場が遠いと感じています。農家さんと接するうちに、値段以外の価値を考えて生産をしている人たちがいるということを知りました。そうした農業の裾野を広げるような活動をしている方を応援したいと思い、この賞を作りました。

 

冒頭の写真は2022年11月に行われた第2回アワード最終審査=農学部W109教室

(札幌農学校リポーター・佐藤祐也=M2、写真も)