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札幌本部

2021.03.11

カラスの行水

 静かな北大構内にやや騒々しい声が響く。何事かと思い目をやると、白い雪で覆われたキャンパスの一角に集まって水浴びをする黒い影が。カラスたちだ。2月下旬のある厳寒の昼間、中央ローンを流れるサクシュコトニ川でハシブトガラスの数羽が浅い川に入り、盛んに水浴びをしていた。

 頭を水にドボンと突っ込み、ブルブルと左右に振る。羽根を激しく動かし水しぶきをあげながら水浴びをする様子は、夏なら気持ちよさそうに見えたかもしれない。しかし今は真冬。見ている方が寒々しくて早くあがるように声をかけたくなってしまう。

川に入り、脚を水に付ける一羽のカラス
次の瞬間には、水の中に頭をドボンと沈めて激しく揺り動かした 

 こんな時期にも水浴びをするのはなぜか。調べてみると鳥は基本的にきれい好きであり、羽根についた汚れや虫を落とすための行動のようだ。羽毛の汚れの放置は保温性や防水性の低下につながるため、羽根の性能維持のためにも必要な行為らしい。この川で浴びる理由は、水深が浅く、カラスにちょうど良いからとみられる。

 ところで、「カラスの行水」という言葉がある。入浴時間が短いことの例えである。実際にカラスの水浴びは短時間なのか。カラスたちは川の水の中をぴょんぴょんと跳ねたり、雪の上と川の中を行ったり来たりしながら時折水しぶきをあげていた。しばらく見ていたが、川の周辺から離れる様子はない。確かに1回の水浴び自体は短いかもしれないが、言うほどあっさりと引き上げるものでもないのかもしれないと思いつつ、見ている私の方が寒くなって退散した。

(さっぽろ農学校リポーター・市村恵美=D2=、写真も)

 最上段の写真(アイキャッチ画像):中央ローンのサクシュコトニ川周辺に集まるカラスたち