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札幌本部

2022.01.10

石山通跨道橋撤去される

 農学部キャンパスと、南西の札幌研究林実験苗畑を空中でつないでいた陸橋(通称・石山通跨道橋)が、半世紀の役割を終えたとして、2021年秋に撤去されました。

 農場の西側を南北に走る石山通りと、農学部校舎の南を東西に走る北8条通りの交差する地点で、石山通りにかかる陸橋です。1972年の札幌オリンピックの際、北海道大学の敷地内に石山通を通す都市開発が行われ、道路の開通によりキャンパスが東西に分断されてしまうため、キャンパス内往来用に設置されました。

 農学部S棟南西側の生物環境工学科実験棟をさらに西へ進むと、樹林の中を縫うように伸びる橋があり、入口に「実験苗畑」の看板がありました。橋は幅2メートル長さ50メートルほどのもので、西側に渡ると研究林が広がり、奥には留学生などのためのインターナショナルハウスがあります。橋は、林学関係の教職員や学生、留学生らがよく利用していました。ほかの学科の人たちは渡った経験が多くないと思われます。桑園駅側には出入口はなく、一般市民の利用はほとんどありません。

 橋は設置から約50年経って老朽化し、現在の構造基準と合わなくなったことから、撤去されることになりました。

【重機を設置できるよう樹木が伐採された農学部キャンパス側の土地=10月13日撮影】

 工事は8月23日から10月25日にかけて行われました。重機など工事車両が近づいて作業できる場所を確保するため、9月までは橋の東西両側の森林を伐採し、「クレーンヤード」を設置。その後、橋本体の撤去作業が行われました。

【橋桁切断撤去直前の陸橋=10月14日撮影】
【橋桁の西側(左側)半分が切断・撤去された=10月21日撮影】
【北8条通りに架かる歩道橋の上から西を望む=10月21日撮影】

 石山通は非常に交通量が多く、橋下の道路交通に配慮する必要があります。そこで、陸橋本体の解体作業が最小限で迅速になるよう、橋を中央で切断して東西に2分割し、1,200トンの超大型クレーンにより一つずつ吊り上げられ、大学構内に降ろした後処分されました。橋がかかっていた場所には横断歩道が設置されました。

【橋桁の東側(右側)半分も撤去され、橋脚だけが残った直後の交差点=10月25日深夜撮影】

 伐採された木材は、アートを通した科学技術コミュニケーションの実践研究として活用していく予定です。具体的には、市民の跨道橋の思い出を集めた「さよなら、アノハシ」や、地元の家具作家による椅子の作成「札幌の椅子、北海道の木2021」などが行われる予定です。これらの取り組みは、「アノオンシツ」プロジェクトの一環として行われる予定となっています。

「アノオンシツ」プロジェクト(リンクhttp://anogreenhouse.com/

【陸桁全体撤去後の石山通り=10月26日撮影】

 跨道橋撤去工事に関しては、以下の幾つかの媒体でも発信されていますのでご参照ください。クリックするとサイトを見られます。

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(さっぽろ農学校リポーター・林芳弘=D2=、写真も)