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札幌本部

2023.12.14

内村の教育思想・発達思想学ぶ 新渡戸連続講座

 新渡戸遠友館(仮称)建設支援連続講座の今年6回目の講座が12月12日(火)、札幌市内の愛生館サロンにて開催された。

 北海道大学名誉教授、学校法人共育の森学園理事長の間宮正幸(まみや・まさゆき)氏が『障害者福祉の父たちのこと』と題して講演した。

【講演する間宮氏】

 講座の中では、(1)内村鑑三の教育思想の形成、(2)内村鑑三の人間発達援助思想、が詳細に語られた。

 間宮氏によると、江戸時代末期に藩士の家に生まれ、武家の男子としての躾と教育を受けながらいわゆるエリートとして育った内村にとって、アメリカ・ペンシルヴェニア州立訓練学校(知的障害児学校)での看護人(アッテンダント)としての経験は内村にとって大きな転換点になったという。

 内村は、苦悶し胸を痛め、時には罵られ唾を吐かれたこともあったがそれと同時に、「白痴の教育」では、①真実と忍耐と勉励をもって向き合う教育の精神、②白痴教育の重要さ、がまとめられている。これは後の社会福祉における障害者支援の根本思想を論じたものであった。

 また、鳥取出身のキリスト者糸賀一雄の児童福祉思想についても触れた。

 講演の最後には、人間開発援助においてはどのように教えるかという「技法」の追求に躍起になるのではなく、内村鑑三のような偉大な先人達の教育観を学ぶことことが重要であると位置づけ、締め括った。

(さっぽろ農学校リポーター・足立大輔=修士1年=、写真も)