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札幌本部

2024.03.29

「北のワイン散策」開かれる

旧昆虫学及養蚕学教室の建物を改修整備した「北海道ワイン教育研究センター」を主会場に、ワインに関するワークショップや施設見学、試飲などワインを学び楽しむ市民向けテストイベント「北のワイン散策」が3月18日、開催されました。

農学研究院の「北海道ワインのヌーヴェルヴァーグ研究室」が主催し、NEC(日本電気株式会社)が協力。同研究室の院生学生3人が中心となって準備し、当日の運営までを行いました。同センターにとって、学外に開かれたイベントは昨年の開所後初めて。この日は、ワインや食、観光などの関係者らが集まり、今後の定期的イベント展開に向けた課題を探りました。

同日昼すぎからセンター内のプロモーションホールに集合した参加者は関係者中心に24人。最初に同研究室の院生佐々木皓平さんから、道内ワイン産業の現状と可能性、北大のワイン研究の到達点などの概要を報告。センター内のラボやワインセラーなどを見学した後に北大構内ツアーに出かけました。

【センター隣接の石倉「インセクタマツムラーナ」のアイランドテーブルで、ワインセラー(左右)に貯蔵されたワインの話などを聴く参加者たち】

センターに戻ってから、山崎ワイナリー(三笠市)の栽培責任者山﨑太地(やまざき・たいち)さんによる「三笠ジオパークとワインの話」を聴きました。山﨑さんは、化石に代表される三笠の地形や地質、炭鉱遺産で知られる三笠の歴史、また景観、文化、産業などを含む三笠の地域資源と「未来」が詰まった、地域の象徴的なワインを地域の「みんな」で造るという「みんなのワイン」構想について持論を語り、参加者からは盛んな質問が出され、「感動した」などの感想が話されました。

【三笠ジオパークとワインについての講話を行う三笠ワイナリーの山﨑さん(奥)】

また、ワインのおいしさを決める要素の一つである「香り」を体験しながら学ぶワークショップが開かれ、参加者たちは、十一個の瓶に入った植物や花など十一種の液体の香りをそれぞれ嗅いで何の香りかを当てるクイズに挑戦。グループごとに意見を交わしながら、答えを絞りました。参加者は「香り」の幅広さや複雑さに改めて驚いている様子でした。

【香りのワークショップで、小瓶に入った液体の香りの種類を探る参加者たち】

ワインの試飲と地元料理の試食も行われました。参加者たちは、山﨑ワイナリー製造の白ワインをはじめ数種のワインをグラスで試飲。また試食には、江別市内の牧場や乳製品製造会社、飲食店らによる、江別産のジャガイモやニンジン、豚肉などを使った料理やスープ、チーズなどが提供され、参加者はワインとのマリアージュを楽しみました。

【北海道ワイン教育研究センター内のプロモーションホールでワイン試飲を楽しむ参加者たち】

参加者の一人は、「次世代を担う学生とのコラボに大事な意味を感じた。新しい産業としてのワインに期待が生まれた」と話し、別の一人は「メニューに体験があることで、今まで知らなかった領域を知ることができた。香りをかいだ後にワインを飲むという流れも良かった。ワインの味もとても良かった」と感想を述べていました。

今回のイベントは、センター活用の道を探っていた農学研究院と、当会代議員でもあるNEC社員の中橋賢一さん(農経・1993年卒、食と農のかたりべ)が協力して実施を構想。院生学生が中心となって詳しい企画を立案しました。

センターの責任者で同研究室教授の曾根輝雄先生は「今後も一般市民が参加でき、学生が主役になって実施できるような、ワインに親しむイベントを開催していきたい。いよいよセンターの『活用のステージ』になっていくので、学内外の方々にはいろいろお世話になります。どうぞよろしくお願いします」と話していました。

(事務局。写真は櫻井徳直「さっぽろ農学校」特別講師)

最上段の写真は【センター中央部のギャラリーホールで施設概要などを聴く参加者たち】